7000人規模の現場をデジタルでつなぐ

ITmediaの発表・報道によると、清水建設は日本一の高さを誇る超高層建築プロジェクトの現場において、大規模なDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術を活用して業務や組織を変革すること)を展開しています。同現場には最大で約7000人もの作業員・技術者が従事しており、これほどの規模の現場を一元的にデジタル管理しようという取り組みは、国内でも際立った事例といえます。

超大型現場では、人の動き・資材の搬入・工程の進捗・安全管理など、把握すべき情報が膨大になります。これまでは紙の書類や口頭確認、担当者の経験に頼る部分が多く、情報の伝達ミスや確認作業の非効率が課題とされてきました。デジタル化によってこうしたボトルネック(流れを滞らせる箇所)を解消しようというのが、今回の取り組みの核心です。

現場DXで具体的に何が変わるのか

大規模現場のDXが進むと、作業員や現場監督の日常業務にいくつかの変化が生まれます。まず、工程管理や安全確認の記録がデジタル化されることで、紙の書類を作成・保管・探す手間が大幅に減ります。報告書の作成に費やしていた時間を、実際の施工や安全確認に充てられるようになるわけです。

次に、現場のリアルタイムな状況把握が容易になります。たとえば、どのエリアに何人が作業しているか、資材がどこにあるかといった情報をデジタルで共有できれば、指示系統が明確になり、管理者の負担も軽減されます。大人数が動く現場ほど、情報の「見える化」がもたらす効果は大きくなります。

また、安全管理の面でもDXは重要な役割を担います。入退場の記録や作業員の位置情報をデジタルで管理することで、危険エリアへの立ち入りを素早く検知したり、緊急時の人員確認を迅速に行ったりすることが可能になります。労災リスクの低減につながる仕組みとして、今後の標準装備になり得るものです。

現場で働く人・これから業界を目指す人への影響

清水建設のような大手ゼネコン(総合建設会社)がDXを大規模に実装していくことは、業界全体の「デジタルが当たり前」という流れを加速させます。現場の最前線で働く職人・技能者にとっても、タブレット端末やアプリを使った作業報告・安全確認が当たり前になる日は、それほど遠くないでしょう。

こうした変化に備えるために、まず意識しておきたいのは「デジタルツールへの拒否感をなくす」ことです。難しい知識は必要ありません。スマートフォンを日常的に使いこなせるレベルの操作感で導入されるケースが多く、「使ってみたら思ったより簡単だった」という声は現場でも増えています。

一方、現場監督や施工管理を担うポジションを目指す方にとっては、BIM(建物の3次元デジタルモデルを活用する技術)やICT施工(情報通信技術を活用した施工管理手法)に関する知識・資格を身につけることが、キャリアの強みになります。大手・中堅を問わず、デジタルスキルを持つ施工管理人材への需要は高まっており、将来の待遇改善にも直結しやすい分野です。建設業界のDX化は、現場の「働き方」そのものを底上げする可能性を秘めています。