3社連携で「使用→回収→再製品化→再使用」の循環を実証
建設通信新聞の報道によると、鹿島と竹中工務店、萩原工業の3社は、建設現場で使用する防炎シートの水平リサイクルに関する実証事業を開始しました。防炎シートとは、建設現場の外壁養生などに広く使われるシート状の資材で、火災の延焼を防ぐ防炎性能を持つことが特徴です。
実証事業の流れはこうです。まず鹿島と竹中工務店が、萩原工業が製造するリサイクル可能な素材を使った防炎シートを購入し、実際の施工現場で使用します。使用後のシートは各現場で分別回収され、萩原工業のリサイクル施設へ搬入されます。その後、萩原工業がブルーシートのリサイクルで培ってきた特殊洗浄や再生ペレット化などの技術を応用して防炎シートを再製品化し、再び鹿島・竹中工務店が購入・使用するという一連のサイクルを検証していきます。
なぜ今まで難しかった?防炎剤の問題を技術で克服
水平リサイクルとは、使用済み製品を回収・再原料化し、同じ種類の製品として再び製造するマテリアルリサイクルの一手法です。廃プラスチックなどを燃焼させて熱エネルギーとして回収するサーマルリサイクルと比べて、CO2排出量が少ない点が環境面でのメリットとされています。
建設現場では防炎シートが大量に使用・廃棄されていますが、これまで水平リサイクルは「業界初の試み」とされるほど実現が難しい状況でした。その主な要因は、防炎シートに含まれる防炎剤にあるとされており、この成分がリサイクル処理の障壁になっていたといいます。今回の実証では、萩原工業による技術開発によってこの課題解決のめどが立ったとされており、3社は「循環型社会の実現に向けた重要な一歩」と位置づけています。
編集部の見解:現場で働く人が知っておきたい資源循環の潮流
建設現場では防炎シート以外にも、養生テープや梱包材など多種多様なプラスチック廃棄物が日々発生しています。一般に、こうした廃棄物の処理コストや環境規制への対応は、ゼネコンや専門工事会社にとって無視できない経営課題になりつつあると言われています。今回のような水平リサイクルの仕組みが普及すれば、廃棄物処理の選択肢が広がる可能性があるという見方もできるでしょう。
現場の作業者にとっては、「分別回収」が実証の成否を左右する重要な工程になります。どの現場でも廃材の分別が徹底されなければ、回収・再製品化のサイクルは成立しません。「ごみの分別は手間」と感じる場面も多いかもしれませんが、こうした取り組みが業界全体の環境対応の実績として積み上がっていく、という視点で捉え直してみるとよいのではないでしょうか。
また、建設業界における環境・社会・ガバナンスへの取り組みが発注者評価や採用活動にも影響を与えるという指摘もあります。今回の実証事業の動向は、同種の資材を扱う他のメーカーや施工会社にとっても参考になる事例として今後も注目しておきたいところです。3社が得た知見がどのように業界標準へ広がっていくのか、続報にも注目が集まります。