LCCO2削減の「取り組み自体」を補助する新制度とは
建設通信新聞の報道によると、国土交通省は2027年度、建築物のライフサイクルカーボン(LCCO2)削減に向けた補助制度を新設する。LCCO2とは、資材の製造から施工、建物の使用期間中の運用、解体に至るまで、建物の一生涯を通じて排出される温室効果ガス(GHG)の総量を指す。
国交省はこれまで、建築GX・DX推進事業を通じてLCCO2の「評価実施」に対する補助を行ってきた。今回の新制度はそこから一歩踏み込み、LCCO2の「削減そのもの」を支援するものだ。先進的な取り組み事例を収集・横展開することで、業界全体への普及を図る狙いがある。
補助の対象となる工事・建材の具体例
補助対象は、建築物の新築・増改築・改修における省エネ、省資源、脱炭素につながる躯体工事や設備工事とされている。元記事では具体的な取り組み例として以下が挙げられている。
一つ目は「既存躯体の活用」だ。建築物の建て替えなどで地下躯体を再利用し、杭などの新規材料の使用量を削減する取り組みが想定されている。二つ目は「GHG製造時排出量が少ない建材・設備の採用」で、高炉セメント、CLT(直交集成板)、グリーン鉄といった低炭素建材の活用がイメージされている。
予算規模については、2027年度の概算要求において、この補助制度を含む「住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業」として前年度予算額の5.5倍にあたる1699億0400万円を要求している。うち1575億5700万円は要求上限を設けない「『強く豊かな日本』投資枠」での計上となっており、制度への力の入れ具合がうかがえる。
2028年度からはLCCO2評価の届け出義務化も始まる
この補助制度の背景には、2026年7月に成立した改正建築物省エネ法がある。同法に基づくLCCO2評価制度では、一定規模以上の建築物について、建築主に対して着工14日前までに評価結果を国へ届け出ることを義務付けている。国交省は2028年度からの本格運用に向けて、詳細な制度設計を進めているところだ。
建設・設計に携わる事業者にとっては、2027年度の補助制度活用が実績づくりの好機となり得る。高炉セメントやCLT、グリーン鉄といった低炭素建材は施工上の知識や調達ルートの確保が必要なケースもあるため、制度の詳細が固まり次第、早めに情報収集しておくことが重要になりそうだ。