建設業の倒産が急増、職人の退職・独立が致命傷に

Yahoo!ニュースの発表・報道によると、帝国データバンクの調査で、2026年度上半期(4〜9月)に発生した人手不足倒産(法的整理、負債1000万円以上)は225件となり、前年同期の214件から11件増加した。集計を開始した2013年以降、4年連続で過去最多の更新となる。

業種別で最も多かったのは建設業で70件(前年同期比+17件)。静岡県の屋根工事業者では、複数の現場を束ねていた社員の独立と、施工に必要な資格を持つ社員の退職が重なったことで営業活動が立ち行かなくなり、自己破産の申し立てに至った。こうした「キーパーソンの離脱」が直接の引き金となるケースのほか、人件費高騰で資金繰りがひっ迫し事業継続を断念した事例も複数確認されている。

サービス業でも増加、AI対応できず倒産に追い込まれたソフトウェア業者も

建設業に次いで多かったのはサービス業の63件(同+6件)。なかでも受託開発ソフトウェア業は8件(同+6件)と増加が目立った。愛知県の販売管理システム開発会社では、資金難から人材の採用・育成に手が打てない状態が続くなか、AIやノーコードツールの台頭に対して自社での技術対応が追い付かず、それが事業継続断念の一因となった。高度なスキルを持つ人材を確保できなければ、技術革新の波に乗り遅れるリスクが現実の倒産として表れている。

最低賃金1177円時代、価格転嫁と生産性向上が分岐点

今後の焦点として、帝国データバンクは人件費の上昇への対応を挙げる。2026年度の最低賃金は前年度から56円引き上げられ、全国加重平均で1177円に決定。政府は2030年代前半のできる限り早期に1500円への引き上げを掲げており、賃上げ圧力は当面続く見通しだ。資材・エネルギー価格が高止まりするなかで、値上げによる価格転嫁や業務効率化で増加する人件費を吸収できるかが、事業継続の可否を左右する局面が続く。

建設業で働く職人や技術者にとっては、自分が持つ資格やスキルが会社の存続に直結していることをこのデータは示している。現場のキーパーソンが抜けた途端に倒産に至った事例は、個人の市場価値が高まっている一方で、所属企業のリスクを見極める目も同時に求められていることを意味する。転職・独立を検討する際には、現在の雇用先の財務・人員構成の安定性を事前に確認しておく判断材料としたい。