調査の概要とスケジュール
建設通信新聞の発表・報道によると、国土交通省は改正建設業法に基づく労務費の基準(標準労務費)の運用状況を確認するフォローアップ調査に、10月下旬から着手します。見積もりから支払いまでの各段階で契約関係書類を確認し、ヒアリングも行って、実際の工事での労務費や賃金の支払い状況、行き渡りを妨げるボトルネック(障害となっている点)を把握します。
調査期間は2027年1月までで、結果は同年2月までにまとめます。中央建設業審議会の労務費の基準に関するワーキンググループ(WG)が5日に開かれ、この方針が了承されました。結果は次回のWGで報告され、2027年4月以降には第2回の調査も予定されています。
3つの調査の中身
調査は「見積書調査」「阻害要因調査」「CCUS(建設キャリアアップシステム)レベル別年収調査」の三つです。
見積書調査は鉄筋と型枠の2職種が対象です。各都道府県で工事業者を1社程度選び、各社2現場程度を調べます。標準的な仕様・作業内容の工事で注文者に出した最終見積書を標準見積書に計上してもらい、記載された労務費と基準値の乖離(かいり)などを確認します。
阻害要因調査は、大手デベロッパー発注の大規模建築工事、大手住宅メーカーによる住宅建築工事、都道府県発注の土木工事で行います。民間工事は発注者と元請け、躯体系・仕上げ系・設備系の工種が対象で、大規模建築は最大20社程度、住宅建築は同15社程度に契約書類の確認とヒアリングを実施し、見積もりや価格交渉の実態をつかみます。公共土木は工種や下請け次数が民間より限られるため、対象工事の全契約分を調べます。
CCUSレベル別年収調査は左官工と内装工が対象です。レベル別年収を定める全国9ブロックごとに数社程度を選び、賃金台帳や作業員台帳から算定した技能者の想定年収とレベル別年収を比べます。
取り締まりではなく課題把握が目的
この調査は施策検討に向けた課題把握が目的で、法令に基づく取り締まりや指導の対象にはなりません。いずれも試行と位置づけられ、結果を踏まえて対象の拡大が検討されます。
編集部の見立てとして、対象に選ばれた鉄筋・型枠・左官・内装の事業者は、10月下旬以降に見積書や賃金台帳、作業員台帳の提出や説明を求められる可能性があります。標準見積書への計上に備え、最終見積書の労務費の内訳を整理しておくと対応しやすくなります。