目的が「国際貢献」から「人材確保」へ

アグリジャーナルの発表・報道によると、2027年4月に施行される育成就労制度は、1993年に発足した技能実習制度に代わる仕組みです。技能実習は国際貢献を建前としながら、実際には人手不足を補う労働力として使われてきました。この乖離が、不適正な労務管理や人権侵害の要因と指摘されてきたといいます。新制度は「特定技能1号」の水準の人材育成と、産業界の人材確保を法律上の目的に据えました。日本農業法人協会の高須敦俊さんは、外国人材を労働者として正式に受け入れる、実態に即した設計に変わると説明しています。

現場にとっての主な変更点

基本の在留期間は3年で、この間に特定技能1号へ移行できる技能と日本語能力の習得を目指します。受け入れ人数枠も、従来の1年単位から3年間の合計で管理されます。途中帰国で欠員が出ても、枠を使って補充しやすくなる点が利点です。

業務区分は拡充され、耕種農業と畜産農業の対象領域が広がりました。これまで難しかった稲作や肉用牛でも本格的な受け入れが可能になります。母国での同種作業の経験(前職要件)と、帰国後に技術を生かす見込み(復職要件)は撤廃されました。主たる指定作業に充てる時間の割合も、全労働時間の2分の1以上から3分の1以上に緩和されています。加工や直売所、農家レストランなどでの業務を組み合わせやすくなり、高須さんは6次産業化を含む経営全体を担う人材としての活用に期待を示しました。

懸念される転籍と日本語教育

雇い入れ側が特に懸念するのが、本人意向による転籍の解禁です。要件は、同一の受け入れ機関で1年以上勤務していること、一定の技能試験に合格していること、日本語能力N5程度以上を有していることなどです。悪質な引き抜きを防ぐ規制や、初期育成費用(渡航費や初期講習費など)を新たな受け入れ側が一定額補填する措置も盛り込まれました。それでも、地方の農業法人には人材流出への不安が残ります。

もう一つの負担が日本語教育の義務化です。在留期間を通じて受け入れ機関が日本語能力の向上を支える必要があり、講習費、教材費、受検費用は原則として受け入れ機関の負担です。高須さんによると、認定日本語教育機関や登録日本語教員は全国的に不足しており、地方では近隣に日本語学校がないことも多いそうです。日本語能力試験や技能試験の申込枠が、募集開始直後に埋まる問題もあります。

施行までに進めておくこと

施行日から直ちに新制度で外国人を雇えるわけではありません。事業主が「育成就労計画」を作成して国の認定を受ける必要があり、新規入国までには施行後数カ月のずれが生じます。現在の技能実習生は、経過措置により従来の在留資格のまま就労を続けられます。

今すぐ取り組む事項として、記事は2点を挙げています。1点目は監理団体への確認です。新制度では厳格化された「監理支援機関」への移行が必要なため、許可取得の見込みと費用体系の変化を確かめます。2点目は社内体制で、育成就労責任者、育成就労指導員、生活相談指導員の選任要件を確認し、講習を計画的に受けさせます。施行直前は予約が混み合うおそれがあります。日本農業法人協会は5カ国語対応の外国人向け相談窓口を設け、雇い入れ側の相談にも電話で応じています。

編集部の見立て

建設業でも外国人材を受け入れる事業者は、この制度が示す論点に備える必要があります。転籍の解禁を前提にすれば、1年勤務後の待遇や育成の中身が定着率を左右する可能性があります。日本語教育の費用と受講先の確保も、施行前に予算と手配先を洗い出しておきたい項目です。なお、建設分野での扱いは本記事では確認できないため、所管の案内を別途ご確認ください。